The Story of the Three Little Pigs 日本語題:三匹の子ぶたのお話 Joseph Jacobs(1854-1916)
ぶたが詩を歌っているころ
さるはタバコを噛んでいた
めんどり雑にタバコを吸って
アヒルはガーガと鳴いている
昔々、三匹の子ぶたを産んだ母ぶたがいました。母ぶたは子ぶたを育てていくことができなかったので、子ぶたの将来を想って外に出すことにしました。最初に出ていった子ぶたはわらの束を持った男に出会いました。そこで子ぶたは言いました。
「ねぇおじさん、家を建てたいんでわらをちょうだいな。」
男は子ぶたにわらをあげました。子ぶたはわらで家を造り、そこに住むことにしました。ほどなく、おおかみがやってきてドアをノックしました。
「子ぶたさん、子ぶたさん、中に入れてくださいな。」
それを聞いて、子ぶたはこう答えました。
「ダメダメ、ぼくのちっちゃなおひげにかけてダメだよ。」
「だったらこの家を、ひと吹きでプーと吹き飛ばしてやるぞ。」
そしておおかみは息を吸い、吹きました。おおかみはわらの家を吹き飛ばして、子ぶたを食べてしまいました。
二匹目の子ぶたはシダの束を持った男に出会いました。そこで子ぶたは言いました。
「ねぇおじさん、家を建てたいんでシダをちょうだいな。」
男は子ぶたにシダをあげました。子ぶたはシダで家を造り、そこに住むことにしました。すると、おおかみがやってきてドアをノックしました。
「子ぶたさん、子ぶたさん、中に入れてくださいな。」
「ダメダメ、ぼくのちっちゃなおひげにかけてダメだよ。」
「だったらこの家を、ひと吹きでプーと吹き飛ばしてやるぞ。」
そしておおかみは息を吸い、吹きました。また吸って、吹きました。やがておおかみは、シダの家を吹き飛ばして、子ぶたを食べてしまいました。
三匹目の子ぶたはレンガをいっぱい持った男に出会いました。そこで子ぶたは言いました。
「ねぇおじさん、家を建てたいんでレンガをちょうだいな。」
男は子ぶたにレンガをあげました。子ぶたはレンガで家を造り、そこに住むことにしました。やがて、おおかみがやってきてドアをノックしました。
「子ぶたさん、子ぶたさん、中に入れてくださいな。」
それを聞いて、子ぶたはこう答えました。
「ダメダメ、ぼくのちっちゃなおひげにかけてダメだよ。」
「だったらこの家を、ひと吹きでプーと吹き飛ばしてやるぞ。」
そしておおかみは息を吸い、吹きました。また吸って、吹きました。何回も吸っては吹き、吸っては吹きをくりかえしました。けれども、レンガの家を吹き飛ばすことはできませんでした。おおかみは、レンガの家をいくら吹いても吹き飛ばせないことが分かりましたので、子ぶたにこう言いました。
「子ぶたさん、カブがいっぱい生えているところをぼくは知ってるんだ。」
「どこだい?」子ぶたは聞きました。
「それはね、スミスさんちの畑なんだ。明日の朝起きていてくれたら、ぼくが子ぶたさんを呼びに来るから、一緒に行って、食事をしようよ。」
「いいねぇ。じゃあ待ってるよ。何時に会うことにしようか?」
「六時にしようか。」
次の日、子ぶたは五時に起きて、おおかみが来る前にカブを取ってきてしまいました。おおかみは六時にやってきて、子ぶたを呼びました。
「子ぶたさん、準備はできたかい?」
子ぶたはこう答えました。「もういいよ! ぼくはもうカブを取って来ちゃったんだ。朝ご飯においしいポトフができたよ。」
おおかみはこれを聞いて、怒ってしまいました。でも、なんとかして子ぶたをまいらせてしまおうと考えて、こう言いました。
「子ぶたさん、いいリンゴの木があるところをぼくは知ってるんだ。」
「どこだい?」子ぶたは聞きました。
「メリーガーデンの下なんだ。もし子ぶたさんがぼくにウソをつく気がなかったら、明日の四時にむかえに来るよ。そしてリンゴを採ろうよ。」
次の日、朝四時にはもう子ぶたは起きていて、リンゴをとりに出かけていました。おおかみが来る前に、家に帰るつもりでいたのです。ですが、リンゴの木は遠くにありましたし、木に登らないとリンゴは採れませんでした。そのため、子ぶたがリンゴの木から降りようとしていると、おおかみがやってきてしまったのです。当然のことですが、子ぶたはとても恐くなりました。やがて、おおかみが木の下にやってきて、こう言いました。
「子ぶたさん、なんでぼくより早くここにいるのさ! いいリンゴは見つかったかい?」
「あぁ、とってもいいよ。」子ぶたは言いました。「きみにもひとつ、投げてあげるよ。」
そして、おもいっきり遠くにリンゴを投げました。おおかみはリンゴを取りに行きました。そのすきに子ぶたは木から飛び降りて、走って家に帰ってしまいました。
次の日、おおかみがやってきて子ぶたにこう言いました。
「子ぶたさん、今日の昼からシャンクリンでお祭りがあるんだけど、子ぶたさんは行く?」
「あぁ、行くよ。何時に待ってればいい?」
「三時にしよう。」おおかみは言いました。それを聞いた子ぶたは、約束より早くお祭りに出かけて、大きなバター缶を買いました。家に帰る途中、おおかみがやってくるのが遠くに見えました。子ぶたはもう何も言えませんでした。ですから、バター缶の中に入り、転がっていくことにしました。バター缶は子ぶたをのせて転がっていきます。おおかみはそれを見て、とてもびっくりしました。お祭りも見ないで、走って帰っていきました。そして、子ぶたの家に行って、丘から転がってくる何か大きいものに追いかけられて、とても恐かったことを、子ぶたに話しました。それを聞いて、子ぶたはこう言いました。
「ハハハ、ぼくはきみが恐かったんだよ。お祭りに行って、バター缶を買ったんだ。そのあと、きみの姿が見えたんで、バター缶の中に入って、転がっていったんだよ。」
それを聞いておおかみは大変怒ってしまいました。お前を食ってやると子ぶたに言って、子ぶたの家のえんとつを降りようとしました。子ぶたはそれを見て、水を入れた深なべをかけ、火をがんがん焚きました。そして、おおかみが降りてきたときに、なべのふたを取りました。すると、おおかみはなべの中に落ちてしまいました。子ぶたはすぐなべのふたをしてその上に乗っかり、おおかみを煮てしまいました。その日の夕食におおかみの肉を食べて、そしていつまでも幸せに暮らしていきましたとさ。